2026年6月1日から5日にかけて、オーストリア・ウィーンのMesse Wienにて、ICRA 2026(IEEE International Conference on Robotics and Automation) が開催されました。本年度のテーマは “Robots for All” です。世界最大級のロボティクス研究会議としての規模にふさわしく、プレナリー講演、基調講演、論文発表、ワークショップ、チュートリアル、フォーラム、展示会など、多彩で密度の高いプログラムが展開されました。歴史ある街並み、壮麗なカフェ文化、帝国時代の建築が残るウィーンの雰囲気は、自律システムやAI駆動ロボットが並ぶ会場と鮮やかな対比をなし、会議全体をより印象深いものにしていました。また、特別企画として開催された “Imperial Night” では、宮殿を舞台にライブコンサート、ダンスパフォーマンス、オーケストラ演奏が行われました。
塚田研究室D2のQuanxi Zhouさんは、共同研究者である国立情報学研究所のWencan Maoさん、チリ国立人工知能センターのTomás Couso Coddouさんとともに本会議に参加しました。6月4日には、Hall Cのインタラクティブポスターセッションにて、論文 “Trajectory Planning for UAV-Based Smart Farming Using Imitation-Based Triple Deep Q-Learning” を発表しました。本研究では、スマート農業におけるUAVの軌道計画問題をマルコフ決定過程として定式化し、模倣ベースのTriple Deep Q-Network(ITDQN)アルゴリズムを提案しています。エリート模倣機構とメディエータQネットワークを組み合わせることで、UAVが雑草の検出・認識、ならびに無線センサーデータ収集を同時に、かつ既存手法より効率的に実行できるようにすることを目指したものです。本研究は、日本・中国・チリにまたがる国際共同研究としても意義深い成果となりました。
また、塚田研究室D3のHanlin Wuさんも本会議に参加しました。6月3日には、Hall Cのインタラクティブポスターセッションにて、論文 “Co3SOP: A Collaborative 3D Semantic Occupancy Prediction Dataset and Benchmark for Autonomous Driving” を発表しました。本研究は、自動運転における単一車両の認識が抱える課題、すなわち遮蔽、センサー範囲の制約、視点の限定性に着目したものです。複数エージェントが相補的な情報を共有することで、ボクセル単位の3Dセマンティック占有予測を可能にする協調型データセットおよびベンチマークを提案しています。
ICRA 2026のもう一つの大きな見どころは、6月4日に行われたロボットパレードでした。多様なロボットプラットフォームが実際に動作する様子を来場者が間近で見ることのできる、活気ある企画です。ヒューマノイドロボット、競技用ロボット、企業展示のロボットなどが会場を行き交い、研究・産業・技術分野から集まった8,000人以上の参加者の注目を集めました。軽快に歩く脚型ロボット、ロボットパンダ、大型マニピュレータなど、多種多様な機械が目の前で動く様子は、本会議のテーマである “Robots for All” を実感させるものでした。かつては論文や研究室の中にあった技術が、今や目の前で歩き、走り、動作していることを強く印象づける機会となりました。
ウィーンで開催されたICRA 2026への参加は、非常に印象深い経験となりました。歴史と文化に彩られた都市を背景に、基調講演、論文発表、ライブロボット競技、展示が連日行われ、単なる学術会議を超えた充実した機会となりました。











